焼酎と聞くと、ロックや水割り、お湯割りといった定番の飲み方を連想する方が多いのではないだろうか。お酒はもっぱらビールやワインという方にとっては、水割りやお湯割りにしてみても、ひと癖あるイメージの焼酎にはなかなか手が出しづらい──というのが本音かもしれない。
しかし、焼酎は本来とても懐の深いお酒。意外な組み合わせだが、その香りや味わいを活かした“カクテル”スタイルも抜群に合うのだ。
今回は、天然由来のほのかな甘みと繊細な味わいが魅力の壱岐焼酎(麦焼酎)を使用したカクテルのレシピを五つ、BAR ROBROY西葛西店やSherlock Houseで腕を振るう熟練バーテンダーの曽根田 雄さんに考案いただき、作り方を紹介してもらった。
曽根田さんには、深いコクとさわやかな甘みが特徴の麦焼酎・壱岐グリーンと、麦焼酎をホワイト・オーク樽で熟成させた、焼酎好きにもファンの多い壱岐スーパーゴールド22を使ったカクテルを教えていただく。まずは、この二本をそれぞれ試飲してもらった。
「壱岐グリーンのほうは、とても優しい味わいで刺々しさがないですね。どんな割り方でも相性がよさそうで、日常的に飲むのに最適な一本だと思います。
壱岐スーパーゴールドは、樽熟成の影響でフルーティーかつ繊細な甘さが感じられ、アルコール感がより和らいでいると感じました。同じく樽熟成のウイスキーのなかには、樽由来の風味や渋みが少し個性的に出すぎているものもあるのですが、これはくどくなく、とてもバランスのいい“樽感”だと思います」(曽根田さん)
それでは、それぞれの焼酎の個性を活かした、家庭でも再現しやすい五つのカクテルのレシピをご紹介しよう。
■壱岐焼酎のジンジャーエール割り
【材料】
麦焼酎(※壱岐スーパーゴールド22を推奨) 40ml
カナダドライジンジャーエール 80ml
【作り方】
グラスに氷と焼酎を入れて20回ほどステア(※)し、氷に当たらないようにジンジャーエールを注ぐ。最後に1回転ステアしてできあがり。
(※……バースプーンを回転させて混ぜること)
「とてもシンプルなカクテルですが、実は今回の一押しです。これまでに飲んだ焼酎のなかで、個人的には『壱岐スーパーゴールド22』がいちばんジンジャーエールと相性がいいのでは? と感じました。
作る際のポイントは、ジンジャーエールの気が抜けないように注意すること。炭酸はぬるくなったりバースプーンで混ぜすぎたりするとすぐに気が抜けてしまうので、最初にステアするときに焼酎を氷でしっかり冷やすことと、氷ではなく液体に直接落とすようなイメージでジンジャーエールを注ぐことがポイントです」(曽根田さん)
■壱岐焼酎トニック
【材料】
麦焼酎(※壱岐グリーンを推奨)40ml
トニックウォーター 80ml
ライム 1/12カット
【作り方】
グラスにライムを搾り氷を入れ、焼酎を注いで20回ステアする。氷に当たらないようにトニックウォーターを注ぎ、最後に1回転ステアする。
「最初にライムを加えるなど材料は違いますが、作り方としては壱岐焼酎のジンジャエール割りとほとんど一緒です。『壱岐グリーン』の繊細さ、フレッシュさが楽しめる一杯です」(曽根田さん)
■壱岐サンライズ
【材料】
麦焼酎(※壱岐グリーンを推奨)40ml
オレンジジュース 80ml
グレナデンシロップ 小さじ1杯
【作り方】
ワイングラスに氷と焼酎、オレンジジュースを入れてステアし、グレナデンシロップを沈める。軽く撹拌し、グラデーションにする。
「オレンジのグラデーションが美しい一杯ですが、グレナデンシロップがない場合はオレンジジュースと焼酎だけでも美味しくいただけます。焼酎にオレンジジュースという組み合わせはちょっと意外かもしれませんが、繊細な甘みがとても合いますよ」(曽根田さん)
■壱岐マリー
【材料】
麦焼酎(※壱岐スーパーゴールド22を推奨) 60ml
オレンジジュース 10ml
フルーツトマト 2~3個
バジル 2枚
塩 少々
【作り方】
(1) バジルと湯むきしたトマトをカットしてすり鉢や大きめのグラスに入れ、よく潰す。
(2) (1)に焼酎とオレンジジュース、塩少々を入れて混ぜる。
(3) 飲み口に塩をつけたロックグラスに氷を入れる。
(4)カクテルを茶漉しで漉しながら注ぎ、ステアしてバジルの葉を飾る。
「いままでの三つに比べると、これは少しだけ凝ったカクテルです。ロックグラスに塩をつけるときは、グラスの飲み口をレモンスライスなどで一周して湿らせ、平たいお皿などに塩を広げた状態でつけるとやりやすいですよ。
フルーツトマトと麦焼酎それぞれが持つほのかな甘さがお互いを引き立て合う、体にも優しい一杯です」(曽根田さん)
■大葉と壱岐焼酎のフレッシュカクテル
【材料】
麦焼酎(※壱岐グリーンを推奨) 60ml
グレープフルーツジュース 60ml
ソーダ 適量
大葉 2枚
上白糖 小さじ1杯
【作り方】
(1) すり鉢や大きめのグラスにちぎった大葉と上白糖を入れ、大葉が湿る程度に焼酎を入れる。
(2) 大葉をよく潰し青汁のようになったら、残りの焼酎とグレープフルーツジュースを注ぎよく混ぜる。
(3) 氷を入れたグラスに茶漉しで漉したカクテルを注ぎ、20回ステアする。ソーダを注ぎ1回ステアする。最後に大葉の葉を飾る。
「最後は、大葉を使ったカクテルです。『壱岐グリーン』は名前の通りフレッシュなさわやかさがある焼酎なので、大葉とも相性がよさそうだなと思い作ってみました。これからはさっぱりとしたカクテルが飲みたくなる時期だと思うので、特におすすめです」(曽根田さん)
今回教えていただいた五種類のカクテルは、簡単なものから少し凝ったものまであるが、どれも思い立ったときに家庭で再現しやすいカクテルばかり。
気分によってさまざまな味わいを楽しむことができる“焼酎カクテル”。ぜひ、壱岐焼酎を自宅に一本ストックして、次の休日に試してみてはいかがだろうか。
【取材協力:BAR ROBROY 西葛西店】
・住所……東京都江戸川区西葛西6-12-8 JAWAビル1F
・営業時間……月~木 19:00~翌3:00(L.O.2:30、ドリンクL.O.2:30)
金・土 19:00~翌4:00(L.O.3:30、ドリンクL.O.3:30)
日曜日 17:00~24:00
・定休日……なし